電力小売の全面自由化で新電力のシェアは増えているのか…新電力の今後の行方は?

電力自由化

2016年4月から始まった低圧電力の小売自由化により、新たに小売市場に参入する新電力の数が増えています。高圧・低圧全体に占める新電力のシェアは、2017年6月現在で11.3%となっており、異業種からの参入も増えています。そこで、新電力の現状を紹介し今後の見通しを考察します。

 

新電力シェアの動向

2000年から特別高圧電力、2004年から500kW以上の高圧電力、2005年から500kW未満の高圧電力、2016年4月から一般家庭向けの低圧電力の小売が自由化されました。これにより、電気の小売市場に新規参入した電気事業者である新電力(PPS)が増え、それに伴って新電力へのスイッチングも着実に増加しています。2017年9月28日の資源エネルギー庁のレポートでは、低圧分野では2017年6月時点で、既存の大手電力会社(旧一般電力業者)から新電力へのスイッチング(契約切り替え)件数が約665万件に達し、電力販売量ベースでのスイッチング率が約10.6%になっています。

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スイッチングの内訳は、10社ある大手電力会社から新電力へのスイッチングが約6.0%、大手電力間で料金プランを規制料金から自由料金にスイッチングした割合が約4.6%となっています。1年半前の2016年4月のスイッチング率は1.5%でしたから、それ以降毎月順調に伸び続けていることになります。

スイッチングにより電力全体に占める新電力のシェアは、特別高圧(特高)および高圧分野では約13.7%、低圧分野では約5.8%、高圧・低圧を含めた全体では約11.3%となっており、シェアも毎年伸び続けている状況となっています。

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画像出典:電力小売全面自由化で、何が変わったのか?

 

新電力の最新のランキングと特徴

低圧電力部門では2015年8月の新電力の事前登録申請受付開始から、2017年9月11日現在で418社の新電力が登録されており、そのうち2017年6月時点で供給実績があった新電力は321社となっています。販売規模が1億kWh/月以上の事業者は18社で全体の5%程度となっていますが、供給量ではこれら18社で全体の約70%を占めています。電力会社の子会社やLPガスや都市ガス、石油関係の会社のほか、通信・放送・鉄道関係など、異業種の参入もみられます。また新電力の料金単価は、規制料金に比べて約4%の0.9円安くなっています。

低圧分野では、新電力上位10社が新電力全体の72%を占めており、自由化されて間もない現在は寡占状態となっています。しかし2000年から自由化が始まっている特高・高圧分野では、上位10社のシェアは2014年には86%でしたが2016年は新規参入の増加で63%に低下しており、低圧も今後上位10社のシェアは低下することが考えられます。

2016年度の特高、高圧分野の上位10社のランキングと上位3社の主な特徴を、以下にご紹介します。

  1. エネット(17.2%):低料金の電気代のほか、電気使用量や料金などの情報をグラフ化してWebで表示したり、情報を解析して省エネ対策に役立てたりなど、ITやAI(人工知能)を駆使したサービスを提供しています。
  2. F-Power(9.7%):自社発電所や契約発電所からの電力と電力市場からの電力をミックスした安定供給を提供しています。
  3. 丸紅新電力(5.7%):世界での電力事業実績に裏付けられた、需要家の状況に合わせた電力コスト削減提案を提供しています。
  4. JXエネルギー(4.6%)
  5. テプコカスタマーサービス(2.7%)
  6. サミットエナジー(2.5%)
  7. オリックス(2.3%)
  8. 東京ガス(2.3%)
  9. 新日鉄住金エンジニアリング(2.2%)
  10. 日本テクノ(1.8%)

  

新電力の今後の見通し

国内の電力市場の規模つまり電力需要は、戦後から経済成長に伴なって増加していましたが、2007年のピーク以降、世界金融危機の影響を受けて減少しています。経済産業省が2015年に発表した「長期エネルギー需給見通し」では、経済再生政策が功をなせば電力需要は増加に戻るものの、補助金などで需要家の節電努力を奨励することで2030年までは現在と同水準を維持することを目指しており、電力需要は安定期に入っているといえます。このように市場自体の拡大が見込まれないなか、新電力の参入数が増えれば、新電力同士の淘汰が始まることも考えられます。

また、これまでのような大手電力会社による独占価格を防止するとともに、大手電力会社の利益も確保する仕組みであった規制料金制度が、小売完全自由化後の経過措置期間を経て2020年に撤廃されることになっています。これにより、大手電力会社による新電力への対抗手段が強化されて、新電力にとっては厳しい競争が強いられるようになることも考えられます。

大手電力からのスイッチングをどれだけとれるかが新電力の課題      

新電力のうち、特に自由化が始まったばかりの低圧部門では、今のところ着実にシェアを伸ばしつつありますが、市場である電力需要そのものは安定期に入っています。したがって、既存の大手電力会社の市場にスイッチングでどれだけ入り込んでいけるかが、今後の新電力の課題となるでしょう。

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