燃料不足により昨年末から続く電気料金の高騰。ロシアのウクライナ侵攻により拍車がかかり、収束する気配がありません。
この状況で電気代を削減するにはどうすればいいのか?
簡単です。電気を買わなければいいのです。と、言っても電気を使うなという訳ではありません。買えば高いなら自前で創ればいい。電気は自給自足出来るのです。
まずは電気料金の仕組みを知ろう
一般的に高圧の電気料金は▼の計算式で算出されています。
電気料金=
(①基本料金単価×③契約電力×(185-④力率)/100)
+(②電力量単価×⑥電気使用量)±(燃料費調整単価×⑥電気使用量)
+(⑤再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×⑥電気使用量)
電気料金を下げる手段
選択肢はいくつかあります。
- 電力会社と交渉し、基本料金単価(①)、電力量単価(②)を下げる
- デマンドを抑え、契約電力(③)を下げる
- 高圧受変電設備の設備更新をし、力率(④)を改善し割引率を上げる
- 賦課⾦減免制度の認定を受け、再エネ促進賦課金(⑤)の負担を減らす
- 省エネ、設備更新、自家消費型太陽光の導入等により電気使用量(⑥)を下げる。電力量料金、燃料費調整額、再エネ促進賦課金の3つを同時に減らすことができる
現在、電力会社は資源の高騰で赤字経営が続いており、1はできない…
2はすでに頑張ってるし即効性がない…
今は工事部材も調達が難しく、3も厳しい…
4の認定がとれるほど大規模じゃない…
という方に、5「自家消費型太陽光発電」をお勧めします!
▼電気代の詳しい仕組みはこちら
1分じゃ分からない!?電気料金計算の基礎知識教えます
太陽光発電の動向
自前で電気を創ると言えば、皆さんが最初に思い浮かべるのは太陽光発電が多いのではないでしょうか?
再生可能エネルギーを普及させるために策定された、固定価格買取制度(通称FIT法)によって太陽光発電設備は急増しました。しかし固定価格での買取期間が終了してしまえば売電収入は激減してしまいますし、太陽光の固定売電価格は2012年から毎年下落しています。
そこで今、注目されているのが「自家消費型」の太陽光発電です。
自家消費型が優位になる条件4選!
売電型に代わり、自家消費型が注目されているのは下記4点が主な理由です。
①売電価格の低下
②電気料金の上昇
③自家消費型限定の高額補助金
④自家消費型限定の税制優遇
①と②については、下表にて電気料金平均単価と太陽光発電のFIT法売電価格の推移をご覧ください。
出典:資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2012年度~2021年度)
出典:資源エネルギー庁 日本のエネルギー2021
売電価格は年々下落しており、2019年度以降は電気料金平均単価を下回っています。
売電価格が電気料金より低くなればなるほど、売電(創った電気を売る)よりも自家消費(自分で使う)の方がお得です。そして冒頭でお話しした通り、電気料金の高騰は収束の気配がありません。
今後は、より自家消費型太陽光発電の費用対効果が高まることでしょう。
③の補助金に関しては、環境省の公表している優良事例集を見てみましょう。
事業費を公表している案件はいずれも補助率1/3、最大で8,971万円もの補助金を獲得しています。
④の税制優遇については、中小企業庁より下記優遇措置が取られています。
1. 中小企業経営強化税制
・税額控除(最大で設備費用の10%)あるいは100%の即時償却
・対象は自家消費率50%以上
参考:中小企業庁 経営サポート「経営強化法による支援」
2. 中小企業投資促進税制
・税額控除(設備費用の7%)あるいは30%の特別償却
・対象は自家消費率50%未満
参考:中小企業庁 中小企業投資促進税制
事例を元に投資シミュレーション!
事例①11kW太陽光
出典:環境省 ソーラーカーポート等の新たな自家消費型太陽光等の導入支援事業 に関する優良事例
出典:環境省 排出係数一覧(令和3年度)
※年間発電量はCO2排出係数とCO2削減効果による概算。
2020年度の電気料金平均単価で計算すると、
15.7円×13,483kWh=21.16万円
と、9年間で負担額の回収が可能。電気料金が上がっている現状を見れば、より回収は早まると考えられます。
事例②100kW太陽光
※出典及び年間発電量の計算は事例①と同様。
2020年度の電気料金平均単価で計算すると、
15.7円×141,573kWh=222.26万円
と、14年間で負担額の回収が可能。こちらは回収までの期間が長めになりますが、需要家と設置事業者が同一グループ企業であること、電気料金が上がっている現状から回収が早まる見込みであることを考えれば、大きなリスクではないでしょう。
投資金額の回収に不安? PPAで初期投資0円スタート!
ここまでご覧になって太陽光発電に興味を持ったけれど、投資金額を本当に回収出来るか不安という方や初期費用が出せないという方には、PPAでの太陽光設置という選択肢もあります。
PPAとは「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」の略称です。
お客様がPPA事業者に土地や屋根を提供し、PPA事業者が提供された場所に太陽光発電設備を無償で設置、設置後のメンテナンスまで無償で請け負うことがほとんどです。そこで発電した電気をお客様が格安で使用するというものです。
電気の使用料こそ支払う必要があるものの、初期投資0円で太陽光発電設備を導入し、電気料金を削減することが可能です。
PPAモデルと自社所有の比較
大きな違いは上表の6点です。
PPAモデルでは初期投資不要、固定資産税や保険料の負担が無い、保守メンテナンスをPPA事業者が負担する、資産計上が多くの場合不要といったところが魅力でしょう。
ただ、最終的なリターンは自社所有型には劣ってしまいます。また、PPAは契約期間が長期間に設定されていることが多く、事業者によって条件が異なるため、電気の買取価格のみならず、契約期間満了後の条件やBCP利用の可否等をよく確認しておくことをお勧めします。
※BCPとはBusiness Continuity Plan(事業継続計画)の略称。緊急事態時に事業継続するための手段を決めておく計画のこと。
電気料金対策外のメリット2選!
太陽光発電のメリットとしてここまで金銭面のみ挙げてきましたが、太陽光発電にはその他にもメリットがあります。
①BCP対策
太陽光発電設備は晴れていれば発電した電気を自家消費出来るので、災害時に電力会社の供給が止まっても電気を使用することが出来ます。
②CO2排出量の削減
太陽光発電の導入によりCO2排出量を削減し、企業評価を向上させることが出来ます。
何かと災害が頻発する昨今では、特にBCP対策に力を入れたいという方も多いのではないでしょうか?
緊急時の電源が確保出来るというのは、特に被災されたことがある方には大きな安心感を与えるものかと思います。
まとめ
ここまでご覧になっていかがでしょうか?
自家消費型太陽光発電設備は、昨今の電力業界の動向から需要家の皆さんのニーズに合致していると思います。
上がり続ける再エネ促進賦課金に頭を悩ませていた方も多いはず。
電気保安協会として、たくさんのお客様からご相談をいただいています。保安の立場からアドバイス出来ることもありますので、お気軽にご相談ください。
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