ベースロード電源・ミドル電源・ピーク電源―電源構成と3E+Sとは?

エネルギー

3つの電源構成区分「ベースロード電源」「ミドル電源」「ピーク電源」とエネルギーミックス、また3E+Sと呼ばれる重要な基準とはどのようなものでしょうか。それぞれの解説および、日本のエネルギー政策において、電源構成についての考え方と再生可能エネルギーの位置づけを見ていきましょう。

電力需要と3つの電源構成

日本のエネルギーと発電のあり方を考えるうえで、総合的に最適なエネルギー構成を探る政策が、経済産業省を中心としてすすめられています。これは、供給される電源を3つに区分して捉えるという手法です。「ベースロード電源」「ミドル電源」「ピーク電源」の3つの電源構成を説明します。

ベースロード電源

ベースロード電源とは、発電コストが低廉で昼夜を問わずに安定的に稼働できる電源のことです。

2013年までは、国内では「ベース電源」と呼ばれていました。しかし、海外ではもともと「ベースロード電源」と呼んでいるため、それにならい2014年に日本でも呼称が改められました。

ベースロード電源には次のようなものに分類されます。

  • 石炭
    日本の総電力のうち30%は石炭によってまかなわれており、ベースロード電源の主流となっています。
  • 地熱
    世界第3位の地熱資源量を誇る日本の地理条件に適した発電方法です。安価で安定した発電方法として期待されますが、現状では温泉地の利権や国立公園の問題によりあまり発電量は多くありません。
  • 水力
    安価に安定して発電できる方法です。しかし発電所を建設できる場所が限定されるため、供給量に限界があります。
  • 原子力
    安価で安定して電力供給ができる一方で、事故が起こった場合甚大な被害になるというリスクがあります。そのため東日本大震災以降は、一部を除いて稼働を停止しています。

ミドル電源

ミドル電源は、発電コストがベースロード電源の次に安価で、電力需要の動向に応じて出力を動的に調整できる電源です。

次のようなものに分類されます。

  • LNG(液化天然ガス)
    世界各地の油田で採掘されるため調達に関してリスクが少なく、また、安価に発電が可能です。また石炭に比べCO2の排出量が少なく、石油に比べ調達先が分散しているというメリットがあります。
  • LPガス
    火力発電所のバックアップ燃料として使われますが、あまり利用量は多くありません。

ピーク電源

ピーク電源とは、発電コストは高いものの電力需要の動向に応じて出力を起動的に調整できる電源です。

次のようなものに分類されます。

  • 石油
    発電以外にも広く使われるため需要が高く、調達価格も高価になります。したがって、発電方法としては価格が上がり、燃料価格の変動を直接受けます。また90%近くを中東に依存しており、中東の政治情勢に左右されます。
  • 揚水式水力
    電力に余剰がある夜間に水を汲み上げ、高い場所にある貯水池に貯めておき、電力需要が高い時間に流して発電する方法です。水を電池のように使えて融通が利くため便利ですが、貯水量に限界があるので継続的な安定供給はできません。

電源構成についての考え方と3E+S

上記3つの区分は、電源ごとの特性が異なるという視点での分類です。エネルギー政策を考えるうえでは、さらに重要な視点として「3E+S」という判断基準があります。

3E+Sとは

3E+Sは、次の4つの判断基準の頭文字です。

  • 安定供給(Energy Security)
  • 経済効率性の向上(Economic Efficiency)
  • 環境への適合(Environment)
  • 安全性(Safety)

経済産業省では、次のような視点があるとしています。

“エネルギー政策は、3つの「E」(安定供給、経済効率性の向上、環境への適合)と1つの「S」(安全性)(=3E+S)を基本的な視点としています。この4つの視点をバランスよく実現しなければなりません。”
(引用:日本のエネルギーのいま:政策の視座|経済産業省

このうち、安全性は絶対前提であるとされています。安全性が満たされない場合、稼働すべきではありません。また、別の視点として、電源ごとの特性と国ごとの向き不向きも考えることが重要としています。

2015年に資源エネルギー庁が取りまとめた資料では、安全性は前提であるとして、3Eに「運転特性」を加えた4つの判断基準により、電源を評価しています。

 

石炭

LNG

石油

原子力

安定供給

中東依存度0%
貯蔵が容易

中東依存度30%
貯蔵が難しい

中東依存度83%
運びやすく備蓄豊富

準国産エネルギー

経済効率性

低価格で熱量が高い
(9.5円/kWh)

液化コスト・輸送コストが高い
(10.7円/kWh)

燃料価格が高い
(22.1円/kWh)

運転コストが低い
(8.9円~/kWh)

環境への適合

温室効果ガス排出量が多い

化石燃料の中では温室効果ガス排出量最小

温室効果ガス排出量が石炭の次に多い

ゼロエミッション電源

運転特性

緩やかな出力変動は可能

電力需要の変動に応じた出力変動が可能

電力需要の変動に応じた出力変動が容易

出力は概ね一定

(引用:各電源の特性と電源構成を考える上での視点|資源エネルギー庁

電源構成についての考え方

このように3E+Sの観点に運転特性も含めて考えたとき、すべてにおいて優れたエネルギー源はありません。それぞれのメリットとデメリットをふまえたうえで、どの電源をどのように使うかを決めていく必要があります。

これらの電源構成を組み合わせて使っていくことを、エネルギーミックスといいます。エネルギーミックスについてバランスを見極め、最適な組み合わせ=ベストミックスをいち早く見出すことが重要とされています。

再生可能エネルギーの位置づけ

3つの電源構成(ベースロード電源・ミドル電源・ピーク電源)に再生可能エネルギーはありませんでした。これは再生可能エネルギーが、まだどれにも区分されていないからです。

電気事業連合会が公表する電源別発電電力構成比によると、2014年の時点で水力を除く再生可能エネルギー発電量は3.2%と、全体に占める割合は小さいことがわかります。再生可能エネルギーは、エネルギーミックスを考えるうえで、まだ実効的な水準に達していないのです。

また、3E+1(運転特性)の観点で見たとき、再生可能エネルギーもすべてを満たすわけではありません。安定供給、経済効率性の面では多くの課題があります。運転特性に関しても、天候に左右される部分が多く、最適な出力を得るのは難しいのが現状です。

エネルギー政策の動向に注目

エネルギー自給率が6%と、資源を他国に頼らざるをえない状況の日本において、効率的で安定した電源供給方法を見つけることは最重要課題のひとつです。しかし、ベースロード電源、ミドル電源、ピーク電源、これら3つの電源構成区分におけるベストミックスの目標設定には、まだ多くの課題が残されています。また再生可能エネルギーの位置づけも注目され、今後重要度を増していくと考えられます。

 

参考: