電気を消すだけではだめ?エネルギー・マネジメント・システムも活用して効果的な節電を

エネルギー

日本では、地震などの自然災害による発電所停止で電力供給が一時的にストップしたり、供給が不足したりする可能性が高くなっています。地球温暖化対策として省エネは世界の課題となっており、日本も2015年のパリ協定で2030年度までに対2013年度比26%の温室効果ガス排出量削減目標を掲げています。また2015年に経済産業省が長期エネルギー需給見通しを発表し、2013年度比5030kl(13%減)の省エネ、21.9%のCO2排出量削減目標を立ててそのための制度設計を行っていますが、これは大幅な省エネの実現なしには達成できません。普段の生活や商工業活動を妨げることなく、効率よく、また効果的に節電するためには、どこでどれだけエネルギーが使われているかを把握して管理することが必要となります。その管理のためのエネルギー・マネジメント・システム(EMS)を紹介します。

エネルギー・マネジメント・システム(EMS)って何?

エネルギー・マネジメント・システムはEMSとも呼ばれる、工場、ビル、商業施設や家庭の、電気、熱、ガスといったエネルギーを管理するシステムです。その管理ツールをEMSと呼ぶこともあれば、品質管理のISO9000や環境管理のISO14001のようにISO/DIS 50001として国際規格化されたシステムをEMSと呼ぶこともありますが、ここでは前者の、IT技術を利用したツールとしてのシステムに関して説明します。

EMSには使われる規模や場所により、オフィスなどのビル (Building)で使われるBEMS、家庭 (Home) で使われるHEMS、地域(Community)で使われるCEMS、工場(Factory)で使われるFEMS、マンション(Mansion)で使われるMEMS、店舗(Store)で使われるSEMSなどがあります。また1つのビルや工場、店舗だけでなく、本社ビルと工場、倉庫、店舗など、複数の拠点をつないで総合的に管理するシステムもあります。そのほか、病院や商業施設、ホテル、学校、娯楽施設など、電気を使うところであればどこでも適用できるシステムとなります。

対象となるエネルギーは電気、ガス、ガソリンなどの燃料で、太陽熱発電などの再生可能エネルギーと連結して、最適の利用をすることもできます。

エネルギー・マネジメント・システムの仕組みと流れ

現在私たちの生活では、実にさまざまなところでエネルギーが使われています。家庭においては家電、オフィスではIT機器、工場では製造ラインの機器などで電気やガスなどの燃料が使われますが、機器によって消費するエネルギー量は異なり、稼動する時間もまちまちです。EMSはまず、今どこで何がどれだけのエネルギーを使っているかを把握することから始めます。

次に、どうすれば日常生活や業務に支障が出ないように省エネにつなげられるかを分析します。そのためには、各機器がいつエネルギーを使うかの予測をすることも必要となります。

そして、実際にエネルギーを必要とする部分だけにエネルギーを使うよう制御を行います。そのために、探知センサーや温度センサー、制御装置などを活用します。HEMSを例にとると、外出先からスマートフォンで電気機器を制御するといった機能の利用が挙げられます。さらにコスト削減という観点から、エネルギーの需要予測をもとに、電気代が安い夜間への使用にシフトするといった措置であるデマンドレスポンスを行います。

EMSの設置と運用支援のほか、補助金申請にあたっての専門的な書類作成などの手続きサービスを提供する事業者の中で、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録された事業者を、エネマネ事業者と呼びます。

エネルギー・マネジメント・システムを利用するメリットは何か

EMSのメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 省エネにより、エネルギーコストが削減できる。
  • 電気やガスなどの燃料消費状況がグラフやチャートで可視化され、省エネ対策の効果を経営者に説明しやすい。また、PDCAサイクルを回して継続改善できるため、省エネ意識が向上する。
  • 老朽化した機器が特定でき、タイムリーな買い替えで生産性向上が期待できる。
  • 経済産業省から最大2分の1の補助金が得られる。国だけでなく、地方自治体の補助金もある。
  • 蓄電や太陽光発電を利用している場合は、EMSで発電量と電力消費量をバランスよく有効管理できる。

EMS自体のデメリットではありませんが、EMSを導入するうえで障害となるものとして、以下のものが挙げられます。

  • システム構築費用(初期コスト)がかかる。電力コスト削減で導入コストを回収するには時間がかかる。
  • さまざまなメーカーの機器を相互接続する必要があり、汎用インターフェースがないと開発しづらい。
  • EMSで管理および制御できる仕様になっていない機器がまだ多い。
  • エネルギー専門家がいないと運用しにくい。

効果的な節電にEMSの活用を

節電は、単に使っていない電気機器のコンセントを抜いたり、電気を消したり、太陽熱発電を使ったりといった対策だけでは大幅な達成は望めません。電気がどこでどれだけいつ使われているかを把握し、効率よく回すことが必要です。そのためのシステムがEMSであり、この活用によりエネルギーコスト削減だけでなく、業務改善にも役立ちます。

 

参考: