業務効率化とは?知っておきたいポイントと具体的な取り組み例

業務効率化は、いつの時代も企業にとっての重要な経営課題の1つです。近年は働き方改革の影響もあり、業務効率化の取り組みへの注目度が高まってきました。一方で、業務効率化の概念は「生産性向上」の概念と同義と扱われるなど、正しく理解されないことが度々あります。

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正しい理解があって初めて、効果的かつ具体的な施策の実施につながります。そこで今回の記事では、業務効率化に取り組む上で理解しておくべきポイントの解説とそれらのポイントを押さえた取り組み例を解説します。

業務効率化とは?

「業務効率化」とは、「生産性向上」を実現するための1つの手段です。
読んで字の通り、「業務効率化」は業務に焦点を当て、いかに業務を効率的に回すかを追求する概念です。定義は人や組織によって様々ですが、本記事では「対象となる業務の目的を最短ルートで達成するようにすること」と定義します。

効率化、というとITツールの導入や業務委託・外注などの施策を連想することがあるかもしれません。しかし、安易に施策を検討する前にまず必要なのは、

  • 業務には常に「達成すべき目的」があると理解すること
  • 業務目的を達成するためのボトルネック(障害や問題)を明らかにすること

です。
業務効率化の取り組みは業務の正しい理解から始まる、ということを念頭に置きましょう。

業務効率化を行うために知っておきたいポイント

業務効率化に取り組む際に重要なポイントは、定義にもあった通り「業務を正しく理解すること」「業務目的から逆算した最短経路を検討すること」の2点です。

業務を正しく理解する

業務を理解する際は、業務目的をはじめに定義した上で、特に「5W1H」「因果関係」「時系列」を意識して分析・理解と良いでしょう。
ここでは、会社間取引(BtoB)での「請求書発行業務」を例に考えてみます。

請求書発行業務の目的とは何でしょうか。企業や個人によって定義は異なるかもしれませんが、概ね「提供した商品・サービスの代金を確実に回収すること」だと定義できるでしょう。
業務のゴールが定義されたら、そのゴールまでの道筋を「5W1H」「因果関係」に着目しながら「時系列」に理解するのが良いでしょう。人や情報の流れを適切に捉えることで、「いつ」業務が始まるのか、請求書の項目の情報を作るデータが「どこ」からくるのか、「誰」が書類の作成・金額の確認に関わるのか、といった業務理解に欠かせない確認項目を漏れなく押さえることができます。

業務目的から逆算した最短経路を検討する

実際の業務が理解できたら、業務目的と業務内容を照らし合わせて効率化できる箇所がないか検討します。例えば、

  • 非常に膨大な量を書類を手作業で無理に処理していないか
  • 目的にそぐわない不要な作業が発生していないか
  • 特定の担当者への負担が大きくないか

など、業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を見極める視点が有効な手段の1つです。

ただし、ムリ・ムダ・ムラなどの業務のボトルネックを排除するときは、業務の目的を見失わないようにしましょう。
例えば、請求書発行業務において「管理者の請求書チェック」の工程があったとします。業務内容から一見すると、請求書発行システムから算出した数値に間違いはないはずなので不要、とも考えて削除する手段も有効に見えます。
しかし、実際は「管理者の請求書チェック」の工程で金額ミス・振込先ミス・期日ミスなどが多く散見されている、という状況であればどうでしょうか。この場合はチェック業務を安易に排除してしまうと、請求書業務の目的である「適切な金額を確実に回収すること」を阻害してしまいかねません。
したがって施策を検討する際は、常に業務の実情と目的に照らし合わせて検討することが非常に重要だといえます。

具体的な業務効率化の取り組み例

業務内容と業務目的の理解に即した施策を検討する際は、ある程度すでにある施策をベースに検討するのが良いでしょう。施策は様々ありますが、ここでは「全社的な影響力のあるトップダウンの施策」と「社員個人レベルでのボトムアップの取り組み」の2つに大きく分けていくつかご紹介します。

全社的な影響力のあるトップダウンの施策としては、「不要な手続きの廃止」「業務のアウトソース」「ツールでの業務代替」などが考えられます。業務成果に影響しないプロセスを廃止したり、ルーチン業務を外注・自動化したりすることで、業務プロセスそのものを大きく変える効果が期待できます。
ただしこのような業務プロセスや承認フローなどの決済に関わる箇所の改善施策は、決定権のある経営層しか行うことができません。ITツールへの投資や外部の人材への業務委託など、会社のリソースを投資する意思決定は経営層に権限があるため、上記の施策を行うには経営陣主導の見直しが必要となるでしょう。

一方で社員個人レベルでのボトムアップの取り組みとしては、「作業の工夫によるスピード向上」や「工数管理」などが挙げられます。
作業の工夫の例としては、

  • 定型的な書類のフォーマットを使い回す
  • 業務手順マニュアルを共有する
  • ショートカットキーやPC基本操作などを積極的に学びITリテラシーを向上させる

などがあります。効果は微々たるものかもしれませんが、比較的繰り返し作業の多い定型化した業務においては非常に有効です。
また、社員個人の工数管理は一見業務効率化とは無関係に見えますが、作業管理の観点で重要なポイントです。個々人の工数を見れば上司は業務過多がないか把握しやすいですし、上司への報告から業務調整を行うまでの流れが非常にスムーズになります。
ボトムアップの施策はトップダウンの施策と比べて効果は小さく感じるかもしれませんが、すぐに取り組める上、現場レベルで効果を発揮しやすいという特徴があります。

まとめ

今回の記事では、業務効率化を導入するために理解すべき定義と考え方、具体的な施策例のご紹介をしました。「業務効率化」というと「どのように効率化するか」といった手段の方が注目されがちです。しかし、実際は施策よりも「どの業務のどの部分を効率化するか」「施策が業務目的に合致しているか」といった視点の方が重要です。
ツールなど「手段の導入」で満足せず、現場の業務に合った効果的な施策をぜひ検討してみてください。

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