夏を目前にして、省エネに頭を悩ませている方が増えてきているだろうこの時期。中小企業の方々はCO₂排出量の報告義務がないから、関係ないと考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、2027年3月期より、時価総額3兆円以上の企業(約70社)を対象に、サプライチェーンを含めた排出量の開示が義務化される見込みです。自社単体では報告義務のある特定事業者ではなくても、これらの企業にサプライチェーンとして関わっている企業も否応なく開示が迫られる以上、無関係ではいられません。CO₂排出量が多いことを理由に取引を断られることや、逆にCO₂排出量が少ないことが理由で取引が成立するケースも増えていくことでしょう。
・「CO₂排出量の開示を求められたけど、何から手をつければいいのか分からない」
・「脱炭素って大企業の話じゃないの?」
・「環境よりもコスト。けれど、将来的な取引に影響するなら対策したい」
実は、電力の「調達先」を見直すだけで、これらの課題に一歩踏み出すことが可能です。しかも、初期投資ゼロ・コストダウンの可能性あり。
今回は、最新データや制度をもとに、その理由と具体的なメリットをご紹介します。
排出係数で選ぶ「電力会社」
環境省が2025年3月18日に公表した「令和5年度(2023年度)電気事業者別 基礎排出係数」によれば、同じ1kWhでも、電力会社によってCO₂排出量が大きく異なることが分かっています。
仮に排出係数が0.0004(tg-CO₂/kWh)違う電力会社に、年間100万kWh使う企業が調達先を変更したなら、年間40トンもの差が出る計算です。
排出係数で電力会社を選ぶと
・調達先を変えるだけで、CO₂削減が可能
・これからのCO₂開示要請にも対応しやすくなる
実際に「CO₂開示あるいは削減を求められた/求めた」製造業の動き
●中小企業が求められた実例
サンエー電機株式会社(福井県)
プリント基板の製造を手掛けるサンエー電機は、取引先メーカーらがサプライチェーン単位での省エネ・省CO₂を考えるようになり、サプライヤーとして取り組みました。
・経産省の省エネ診断を活用
・空調や製造設備にセンサーを設置し、稼働状況を把握
・夜間・休日の設備停止などの改善を実施
結果:エネルギー消費量を8%削減、年間182万円のコストカットに成功
出典:近畿経済産業局|カーボンニュートラル実現に向けた関西企業等の取組事例
●大企業が求めた実例
株式会社トヨタ自動車(愛知県)
トヨタは、サプライチェーン全体での脱炭素化を掲げ、すべての取引先(中小企業含む)にCO₂排出量の報告を要請しています。
・トヨタ生産方式に基づき、エネルギー使用量・排出量の報告を要請
・持続可能な調達の一環として、環境負荷低減を全社的に促進
カーボンニュートラルへの支援
●カーボンニュートラル投資促進税制の活用で、脱炭素投資に「税メリット」
2024年より、資源エネルギー庁の「カーボンニュートラル投資促進税制」がリニューアル。
中小企業にとって、以下の投資が税優遇の対象になります。
・再エネ電力の導入(電力調達先の見直し)
・省エネ機器の導入や更新
・EMS(エネルギーマネジメントシステム)の構築など
再エネ導入やCO₂削減の第一歩が、「減税」と「コストダウン」につながります。
出典:資源エネルギー庁|中小企業の脱炭素化投資を後押し!カーボンニュートラル投資促進税制がリニューアル
●ちゅうぎんGXボード × SBT認証:地方企業のGX支援も強化
「ちゅうぎんGXボード(中国銀行)」は、地域企業の脱炭素化支援やSBT認証取得支援を行っています。
・Scope2(購入電力)排出量の削減に向け、再エネ電力の導入支援
・SBT認証取得で、環境配慮型企業としての評価向上や金融優遇も可能
金融機関からの融資条件の改善・補助金採択の可能性も高まります。
中国銀行に限らず、金融機関による支援は珍しくありません。興味のある方はお近くの金融機関に問合せ、大いに活用しましょう。
中小企業が得られる「実利」
電力の調達先を変えるだけで、中小企業が得られるメリットは以下の通り。
・電気料金の見直しによるコスト削減の可能性
・CO₂排出量の大幅削減(明確な数値で証明可)
・CO₂開示要請への即時対応(取引継続に有利)
・税制優遇・補助金との組み合わせで投資が加速
・SBT認証取得で企業評価・金融支援の向上
今や脱炭素は「環境活動」ではなく、「経営判断」です。普段から情報を集めて「コスト削減」と「市場優位」を同時に得る機会を逃さないようにしましょう。
スターメンテナンスサポートはお客様の代理人となって、最適な電力会社を探すエージェントサービスを行なっております。これまでに多くの電力会社の試算を行なう中で培ってきたノウハウや、集まった情報を元に交渉することによって、単なる試算以上のメリットを提示することができます。
ご興味のある方は是非一度お声がけください。スターメンテナンスサポートが「エネルギーコスト最適化」を実行します。
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