漏電とは

「漏電」とは

電気機器類や配線の電気回路は電気が外部に流れないように、電気を通さない素材で銅線などを覆う絶縁処理が行われています。
この絶縁材の老朽化による破損、水、ホコリなどの外的要因により本来の電気回路以外に電流が流れてしまうことを漏電と言います。

漏電の危険性


漏電すると漏電保護装置(漏電ブレーカーなど)が設置されている場合、保護装置の動作により意図せず停電が発生し生産活動に支障が生じたり、保護装置がない場合は絶縁が弱い部分に人が触れて感電事故が発生したり、漏電箇所で発熱し火災を発生させるなど、甚大な被害が生じる恐れがあります。

阪神淡路大震災や東日本大震災では電源コード等の損傷や電気機械器具の損傷が原因による火災が発生しており、漏電遮断器は法により取付が求められています。(参考資料 経済産業省電力安全課産業構造審議会-保安分科会-電力安全小委員会-電気設備自然災害等対策ワーキンググループ(第5回)‐配布資料:自然災害(地震)時における電気火災防止への対応について

そのため、ほとんどの家庭には漏電ブレーカーが設置されており、ブレーカーが動作した原因が過電流(機器の使い過ぎ、故障)ではなく、漏電であった場合には漏電表示ボタンが飛び出すようになっています。この場合、原因が見てわかる状況でない限り素人では手の出しようがありませんので、電気工事店に連絡し速やかに原因と漏電箇所を突き止め、不良箇所の切り離しや絶縁を回復させることで被害拡大を防ぐことが出来ます。

高圧設備の場合、漏電(地絡)遮断装置を設置しなくても良い場合がありますが、構内の漏電事故で近隣地域に停電事故を波及させない様に設置した方が良いでしょう。

漏電の原因

先に説明したように電気機器の回路は、絶縁材で保護されています。この絶縁材のおかげで漏電が起こらないようになっています。

しかし、雨漏りや落雷などの天災のほか、絶縁材の老朽化、施工不良、ねずみなどによる絶縁材の損傷、塩害、タコ足配線などの過負荷による発熱、ホコリの蓄積によるトラッキング現象などで絶縁能力が低下した場合に漏電が発生します。
特にトラッキング現象は火災事故の原因になることがあるので注意が必要です。

以下にトラッキング現象による火災事例を紹介します。

トラッキング現象による火災

平成26年中、東京消防庁管内では、差込みプラグのトラッキング現象による火災が33件発生しています。トラッキング現象とは、コンセントに差し込んだプラグの差し刃間に付着した綿埃等が湿気を帯びて微小なスパークを繰り返し、やがて差し刃間に電気回路が形成され出火する現象を言います。

引用元:東京消防庁_広報テーマ


トラッキング現象による火災は、隠れた部分で発生することから、発見が遅れて思わぬ被害に繋がる場合があります。

トラッキング現象による火災を防ぐため、差込みプラグは、使用時以外はコンセントから抜くようにしましょう。長時間差したままのプラグ等は、定期的に点検し、乾いた布などで清掃し、発熱等の異常がある場合は、交換しましょう
特に、埃や湿気の多い環境で使われているものや、家具等の陰に隠れているものには、注意しましょう。

漏電の防止について

漏電防止のポイントは絶縁能力を低下させないことです。

  • 電気配線のタコ足配線や家具等での圧迫、損傷しないようにし、絶縁材の劣化や破損を防止する。
  • 電気配線、コンセントの近くなどは特に埃が溜まらないようにこまめに掃除し、湿気や火災の発生を防止する。
  • 電気機器や、電源の元となるコンセントの近くには水槽や花瓶などの水に濡れてしまう危険がある物を置かないように注意する。

漏電による火災は、実際に発生している危険な現象です。このような事故が起こらないように日頃からコンセント周囲の掃除を心がけ、身の回りの電気機器や配線に破損がないか点検し漏電を未然に防止して下さい。