最近、古い変圧器やコンデンサーなどについて、「PCBが含まれていることが分かったが、処分までの間はどのように保管すればよいのか」といったお問い合わせが増えています。
特に、設備更新に伴ってPCB含有機器を取り外したものの、すぐに処分できず、一時的に事業所内で保管しているケースでは、適切な保管方法や届出について確認しておくことが重要です。
今回は、PCB含有機器を取り外した後に「PCB廃棄物」として保管する場合の基本的な注意点についてお伝えします。
PCB含有機器は、取り外した後の管理にも注意が必要
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて変圧器やコンデンサーなどの電気機器に使用されていました。
現在では製造・使用が原則として禁止されており、PCBを含む機器を廃棄する場合には、関係法令に基づいて適正に処理する必要があります。
ここで注意したいのが、使用中の機器と、使用を終えて取り外した機器では扱いが異なるという点です。
使用を終えて廃止した低濃度PCB含有電気工作物は、低濃度PCB廃棄物として扱われ、処分するまで適正に保管する必要があります。
低濃度PCB廃棄物の処分期限は、2027年3月31日です。期限までに自ら処分するか、処分を他者へ委託する必要があります。
そのため、「取り外した機器をとりあえず倉庫に置いておく」という対応ではなく、保管方法や必要な届出まで含めて確認しておくことが大切です。
PCB廃棄物を保管する際の主な基準
PCB廃棄物は、廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物保管基準」に従って保管する必要があります。 環境省では、PCB廃棄物の保管について、主に次のような基準を示しています。
① 保管場所の周囲に囲いを設ける
PCB廃棄物を保管している場所について、周囲に囲いを設け、関係者以外が容易に立ち入ったり、保管物を移動させたりすることがないようにします。
② 保管場所であることを表示する
保管場所には、見やすい場所に「特別管理産業廃棄物の保管場所」であることなどを表示した掲示板を設置する必要があります。
環境省の例では、掲示板は縦・横それぞれ60cm以上とされています。
③ 飛散・流出・地下浸透を防止する
PCB廃棄物からPCBが漏れ出したり、周囲に飛散したりすることがないよう、必要な措置を講じます。
特に、絶縁油が入っている変圧器などは、万が一の漏油を想定した保管方法を検討することが重要です。
④ 他の物と混ざらないようにする
PCB廃棄物に他の廃棄物や物品が混入することのないよう、仕切りを設けるなどの措置が必要です。
「倉庫の片隅に置いておく」という管理ではなく、PCB廃棄物であることが明確に分かる状態で管理することが重要です。
⑤ 高温・腐食・揮発への対策を行う
PCB廃棄物については、揮発を防止するとともに、高温にさらされないようにする必要があります。
また、容器や機器そのものが腐食しないよう、腐食防止についても適切な措置を講じます。
環境省では、PCB廃棄物について、飛散・流出・地下浸透・悪臭発生の防止に加え、害虫の発生防止、他の物との混入防止、揮発や高温への対策、腐食防止などを保管基準として示しています。
「事業所内なら届出は不要」とは限りません
PCB廃棄物の保管について、よくあるのが「事業所内で保管するだけなら届出は必要ないのでは?」という疑問です。
ここは注意が必要です。
事業場の外で産業廃棄物を保管する場合には、廃棄物処理法に基づく届出が必要となる場合があります。
一方、PCB廃棄物については、PCB特別措置法に基づき、保管しているPCB廃棄物の状況を自治体へ届け出る必要があります。
低濃度PCB廃棄物についても、年度末時点の保管状況などを翌年度の6月末までに、保管場所を管轄する都道府県または政令市へ届け出ることが必要です。
また、保管場所を変更した場合には変更後10日以内、すべてのPCB廃棄物の処分を完了した場合には完了後20日以内に届出が必要とされています。
そのため、「事業所内に置いているだけだから大丈夫」と自己判断せず、保管場所の所在地を管轄する自治体に確認しながら対応することをおすすめします。
保管するだけでも「管理責任者」が必要
PCB廃棄物は、一般的な産業廃棄物とは異なり、特別管理産業廃棄物として適切に管理する必要があります。
そのため、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置く必要があります。
管理責任者には、法令で定められた資格要件があります。
「PCBを保管しているけれど、誰が管理するのか決まっていない」という場合は、一度、自社の管理体制を確認しておきましょう。
PCB含有機器が見つかったら、早めの確認がおすすめです
PCBについては、「処分する段階になってから調べればよい」と考えてしまいがちです。
しかし、実際には、
機器の確認
↓
PCB含有の可能性を確認
↓
必要に応じて分析
↓
PCB廃棄物として届出・保管
↓
処分業者の選定
↓
収集運搬・処分
というように、いくつかの工程があります。
特に低濃度PCB廃棄物については、2027年3月31日という処分期限が定められています。環境省も、期限までに処分するよう施設内の電気設備を総点検し、該当する機器がないか確認することを案内しています。
そのため、古い変圧器やコンデンサーなどが残っている場合は、「まだ使っているから」「倉庫に置いてあるだけだから」と後回しにせず、早めに確認しておくことが重要です。
PCB含有機器の処分でお困りの場合はご相談ください
PCB含有機器への対応では、単に機器を交換するだけでなく、
PCB含有の可能性がある機器の確認
・PCB分析の必要性の確認
・機器を取り外した後の保管方法
・必要な届出の確認
・新しい機器への更新
・PCB廃棄物の収集・運搬
・適正な処分
など、複数の対応が必要になる場合があります。
「PCBが含まれているか分からない」
「すでに機器を取り外して保管している」
「保管方法が適切か確認したい」
「処分までどのように進めればよいか分からない」
といった場合には、早めに専門業者や自治体へ相談することをおすすめします。
スターメンテナンスサポートでも、電気設備の点検・更新やPCB含有機器に関するご相談に対応しています。 PCBについて気になる機器がある場合は、まずは現在の状況を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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参考
処分に向けた手続|環境省



